20101118_UstToday特別編「USTREAM音楽使用Q&A」公開版

20101118_UstToday特別編「USTREAM音楽使用Q&A」公開版


【チェック済公開版:11月29日22時版】【取り扱い注意】

【ご注意】この書き起こしは、11月29日22時現在、放送をテキストにて書き起こしたベータ版です。出演者のチェックを経て、公開版としてお送りします。ここに書いてあるものは、不完全であることがございます。ご了承の上ご覧いただきますよう宜しくお願い申し上げます。



書き起こし元ustream動画
http://www.ustream.tv/recorded/10928906


JRC USTREAM利用可能音源検索データベース
http://www.copynavi.com/ust/terms.html


Excel「楽曲利用報告書」請求窓口
copyright_jp@ustream.tv

参考
Togetter-「JASRACシンポジウム2010関連「Ustream音楽使用Q&A」by UstToday」
http://togetter.com/li/70222


UstToday Ustweet Log - 2010年11月18日
http://ustweet.net/log/usttoday&d=20101118


関連
http://www.ustream.tv/jp/copyright/1
http://www.ustream.tv/jp/copyright/2



【本文開始】【チェック済公開版:11月29日22時版】


三上 みなさん音声来てますでしょうか? みなさん音声来てますでしょうか? この時間までJASRACのシンポジウムを有楽町朝日ホールからお届けいたしました。みなさん音声いかがでございましょうか? 場所を変えましてUstream Asia、銀座にあります本社の一階におじゃましております。これから「Ustream音楽利用Q&A」として、Ustreamで実際に音楽を使うためにどういうふうにしたらいいんですか? 音楽CDかけていいんですか? 鼻歌ならいいんですか? そういう非常に基本的なお話、実際の手続きのお話を伺っていこうと思います。視聴にきている方が戻るまでもうちょっとお待ちください。今こちらはUstream Asiaの銀座からお届けしております。ニコ生ないですよ。Ustream独自のコンテンツでございますので、ニコ生さんの中継は終了しているかと思いますが。
UstToday、この番組はライブ動画の情報番組UstToday。いま155まで戻りましたね。170くらいまで戻ったらスタートしたいと思います。それでは165、もうちょっとですね。いいかな? あ、いきましたね、170。じゃもう一回、上から振りましょうか。


三上 はい、お待たせいたしました。いままでJASRACのシンポジウムを有楽町朝日ホールからお届けしました、ライブ動画の情報番組UstTodayの特別編です。ここからはUstreamで実際に音楽をどう使っていいのか、どうやって手続きをしていいのか、音楽CDはダメなの? それとも歌うのならいいの? こういう具体的な論をUstream Asiaの方にお話を伺いたいと思います。ゲストとしてお招きしておりますのは、Ustream Asiaサービス企画部、加藤幹也さんです。

加藤 加藤でございます。どうぞよろしくお願いします。

三上 よろしくお願いします。まず加藤さんはUstream Asiaでどんな仕事をされておられるんでしょうか?

加藤 僕はサービス企画部というところで、今Ustreamwをいろんなところで使ってくださって、やっと少しずつ名前が出るようになったかなあと思いますけども、どうやって儲けているのか? ということをよく言われるんですけども、それをひとつ考える部署の一員でございまして。他にもですね、僕はライツを担当しておりまして、まさに今日さきほどあったJASRACシンポジウムのJASRACさんなんかと、管理事業者さんとの交渉をさせていただいている立場でございます。

三上 そうしますと実際に音楽事業をどうやるんですかとか、JASRACさんとの包括の契約手続きなんかも加藤さんがやられているわけですか?

加藤 そうですね、僕のほうで。

三上 そういうことで、今日の中継は前半JASRACのシンポジウムはUstToday特別編としてやらせていただきました。Supported by Ustream Asiaということで、ご協力とご依頼をうけてやらせていただいております。今みなさんタイムラインでいろいろ話題になっておりましたが、シンポジウムの中でアンケートをやらせていただきました。たくさんのアンケートをお答えいただきましてどうもありがとうございます。4つほどアンケートを取らせていただきました。このアンケートを見ながら、音楽事業の実際にはいる前に、このJASRACシンポジウムについて、アンケートの結果についてを見ていきたいと思います。
今回のシンポジウムっていうのは、電子書籍だったんですね?

加藤 そうですね、僕もびっくりしてまして、全編電子書籍で。たしかJASRACさんって日本音楽著作権協会で、あんまり書籍と関係ないじゃんと思ってたんですけど、やはり実はシンポジウムを見てくださった方はおわかりのように、電子書籍で新しい市場を作るんだというときはどうしても権利というものが出てきまして、これをどう使ってビジネスにするんだとか、どう権利処理って許諾を得ることなんですけども、きちっと権利者にお金を分配するための手続きをどう取っていくんだというのが大事なキーかなと思っていまして、いま音楽とか映像業界だけじゃなくて、出版業界もやっぱりこういうことをきちっと取り組まなければならない、というのがよくわかったかなと思います。

三上 電子書籍の著作権処理、それから音楽の著作権処理って、やっぱり仕組みが違うもんなんですかね?

加藤 そうですね、やはり業界ごとに変わってきてるんで、僕も詳しいわけじゃないですが、出版社さんと作家さんという関係の中で、あとは書店にどう配分していくか、という中で決まっていくと聞いています。

三上 今回ビジネス展開の話が多くて、タイムラインでもあったんですが、実際に著作権者の方があまり出てらっしゃらないという意見が出ておりました。いま電子書籍を何冊買ったことがありますか? というアンケートを取らせていただきました。意外にみんな使ってないというか、少ないですね。この画面の下のほうにアンケートの結果がはめ込んでありますが、48%の方が買ったことがないよ。買ったことがある人が結局52%しかいないんですね。買ったことがある人でも実は2冊から5冊ぐらい、このくらいが一番多いということで、まだまだこれからかな、という感じがしますね。

加藤 そうですね。もしかしたら電子書籍をKindleを持ってダウンロードした人とか、iPadを持っててダウンロードした人ということかもしれなくて、もう少し、ケータイコミックを買ったことがある人とか、ダウンロードしたことがある人というと、もっと増えるかもしれない。一般にいま電子書籍というとKindle、iPadみたいなのが出てくるのかなという印象を受けました。でも少ないですよね。

三上 「Padを持っているので興味はあるのですが値段が高く感じるので買ってません」「KindleやiPad持ってればだけど、やっぱiPhoneじゃ読みにくいよ・・・」ということを@yusuke_ustさん、@tohru_ustさんにもタイムラインで書いていただいております。で、その下の質問。あなたは電子書籍をどの端末で読んでいますか? 今このアンケート結果を我々のUstreamの画面の下のほう、番組情報のところに出ているのでご覧いただければと思います。どれを使っていますか? 圧倒的にiPad/iPhone。

加藤 そうですね。

三上 78%。Kindleという答えはゼロなのかな。ごめんなさい、そんなに今回私どものミスもありまして投票数が多くないんですが。それからパソコンという方もいらっしゃいますね。やっぱりiPad/iPhoneというのがすごいですね。iPhoneはお使いですか?

加藤 はい。iPhoneはですね、iPhone4と、業務端末で渡されたiPhone3Gの2台持っていて。

三上 電子書籍はお読みになりますか?

加藤 僕はあんまりそんなに書籍は使ってないですね正直。もちろん買ったことはあるんですが、そんなに何回も何回も買ってるというわけじゃない。

三上 「紙の質感を感じながら読むのが一番かな~」ということで@nautilus1977jpさんから書いていただいています。その下に今回の話に関係のある、Ustream配信で利用したい楽曲報告の手続き報告を知っていますか? 今回のここからは実際にUstreamで音楽を使うときにどんな手続が必要なんですか? これはアウトですか? OKですか? という具体的なお話をします。そのためにアンケートにご協力いただきました。知らない方が50%。知っているがやったことないが44%。自分で手続きしたことがある人は、今回見ている人ではお二人様いました。

加藤 まったくもって私どもの告知不足。これからこういう番組を通じてみなさんに知っていただくようにしなければいけないなあと感じております。

三上 いま「Ustでやっていいことダメなこと明確に教えてね!!」ということですね。それから「時間にも限りがあるし、まず一番利用者が多い音楽問題をやられることは、大変意味のある配信だと思いますね」タイムラインで書いていただいております。ということでいいこと、わるいことをはっきり伺いたいと思います。いま上のほうに配信に対するご意見を頂戴しております。いま3つほど書いていただいています。「難しすぎてわかりにくいです」「JASRACは既得権益を守りたい」そんな厳しい意見もありますが、もしよければこの音楽使用Q&Aの中でも、ここの下にありますアンケートを見ていただければと思います。タイムラインを見ていると、JASRACに対する反感みたいなものがちょっとあるんですけども、これってJASRACってたしかに対抗団体みたいに捉えられることが多いんですけども、包括処理をしてくださるということは著作権者にとっても事業者にとってもメリットがあるように感じるんですが。

加藤 そうですね、たぶん大きな誤解をみなさんお持ちなのかなと思ってまして、我々事業者側、プラットフォーム側からすると、音楽を使うにあたって一件一件ですね、作詞者さんとか作曲家さんとか、編曲した場合もそうなんですが、1つの音楽を使うのに3人いるかもしれない、もっといるかもしれないけど、その方に個別個別に許諾を取るということに関してはあきらかに不可能ですので、それを一括で、JASRACさんであったりとか、他にもJRCさん、イーライセンスさんという管理事業者さんがいらっしゃるんですが、そういう方が包括的に「じゃあ自分たちが持っているプールの中で、データベースの中はいいよ」と言ってくださることがあると、非常に我々にとってもやりやすいし、使っていただくみなさんが大変便利な形になるので、そこはきちっとご理解いただきたい。

あとは権利者さんもそうなんですが、実際に演奏したとか、作曲をしたりとか歌詞を作った方とかも、じゃあ利用者側から個別に、全国の学校とか、放送局とかケーブルテレビ局とかから自分の家に電話がかかってきて、「使っていいですか?」「いくらですか?」じゃあ毎回「300円です」「大きい企業だから5万円」という交渉をやってられないですよね。そういう意味ではJASRACさんみたいなところに信託する、権利を預けて、かわりに許諾を出して利用した分だけお金を徴収してもらう。ということをやってもらうことに関して大変メリットがありますので、権利者にとっても、我々利用者、またUstreamを使う方も利用者ですけども、全員にとってすごいメリットがある。そのへんはこのあとスライドを説明しながらご説明させていただきたいと思います。

三上 ということで、まず今ゲストでお迎えしておりますのはUstream Asiaサービス企画部の加藤幹也さんです。ライブ動画の情報番組UstTodayの特別編をお届けしております。ではさっそく加藤さんに、実際にUstreamで著作権、音楽の使い方をどういうふうにすればいいんですか、という図表を出していただいております。その図表をもとに概論を詳しく説明いただいたあとに、皆さんからのQ&Aを一つずつきっちりお答えしていきたいと思います。スライド画面をお願いします。

加藤 まずはおおまかなところから、大枠のところからご説明させていただきますと、音楽著作権の包括契約というのをUstream Asiaは結んでおります。結んでいる団体はいま3社さんありまして、JASRAC(日本音楽著作権協会)と、イーライセンスさんと、JRC(ジャパン・ライツ・クリアランス)さん、この3団体の管理する楽曲について包括的な利用許諾契約を締結している。この包括契約の提携っていったいなんなの? というのが下のほうに書いてありまして、彼ら3社、3団体さんが許諾した楽曲の範囲内で演奏することや、演奏に合わせて歌う、映像などを配信することが可能になる。ただし各権利管理事業者さんに関して言うと、我々はお金を一括でお支払いして一括で使っていいよという契約になっているんですけども、我々からだけではなく権利者さんからすると、使われた分はお金は返ってくる。ようするにUstreamからお金を一括で支払って、その分の分配金という形で使われた量に応じて返ってくるということの計算をしなければいけませんので、利用した曲についてはみなさまから報告をいただいて、Ustreamは一括してJASRACさん、JRCさん、イーライセンスさんなどにご報告をして、利用した曲の使われた回数に応じて権利者の皆さんにお金が分配される、という仕組みになりますので、利用した曲に関しては必ずUstreamに報告が必要になる、ということをご理解ください。

三上 次をお願いします。

加藤 そもそも論。著作権とは。これは教科書に書いてあるような言葉なんですが、それを読まさせていただきます。著作権とは自らの思想・感情を創作的に表現したものに認められる、創作物の利用をコントロールすることを目的とする権利のこと。自ら考えた物、表現したものに認められるコントロール権のことを著作権といいます。コントロール権とは何か? 他人が使うときに「それはいやです」とか「それを使ってもいいけど、いくらいくらお金をください」というものを総称してコントロール権、それが著作権という権利になります。著作物というのは、思想または感情を創作的に表現したものである。文芸、学術、美術、または音楽の範囲に属するもの。ようはこのカッコの中なんですけど、小説、書籍、さっき出てきた電子書籍ですね。あとは講演とか、音楽、美術、映像・映画、プログラムなどと書いてありまして、これらのもの、他人の著作物を勝手に配信してはいけませんというのが、著作権の一番おおもととなる考え方、概念です。
次のページをお願いします。
じゃあUstreamに関係する権利ってなんなの? というのをここにまとめてあります。これはUstreamに限らず、一般的な映像配信、ネット配信をするときに関連する権利となっています。上から読み上げさせていただきますと、著作権の中に脚本というのがありまして、たとえばドラマ、映画。シナリオライターさんとか脚本家さんがいて、こういうあらすじでドラマを作りたいという権利になってまして、ただしUstreamで配信する場合は、みなさん自分自身が脚本家に、三上さんなんかもそうですけど、台本を考えられて、これは自分のために使うわけですから、自分の許諾を得ている。
他人のドラマをそのまんま演じるということになったら、それは脚本家さんに許諾を得なければいけない。

三上 うーん、なるほど。すみません、最近ビットレートを下げているので、よく読めないとご指摘いただいてますが、全部きっちり読んでいきますので、じっくり耳をすませていただければと思います。ごめんなさい。

加藤 上から2番目の枠ですが、これが音楽。音楽の部分は作詞・作曲・編曲というふうに考えていただけばいいんですけども、楽曲の歌詞、曲を作った人、または編曲した人に与えられる権利で、だいたい誰? というのは作詞家さん、作曲家さん、編曲家さんの3者にあたります。今回許諾を受けたのはこの部分になりまして、この部分のJASRACさん、イーライセンスさん、JRCさんが管理している楽曲の中はUstreamの上で自由に使っていいですよ、という形になります。なので、実はこれ以外の抵触するものに関しては、みなさんはその都度一個一個使ってもいいですかと、他人のものを使う場合ですよ、自分であらすじ書くんだったら気にしなくてもいいです。他人の脚本を使う場合は、都度確認していただく必要が発生します。次に著作隣接権と書いてありまして、多分ここが一番わかりにくいと思いますけども、CDかけちゃダメなの? とか、カラオケ歌っちゃダメなの? というのは実はここが関連して、今Ustreamではできない、というものになります。上から3番目、著作隣接権の一番上の枠を読み上げさせていただきます。実演と言ってまして、実演の中に2つあって、レコード実演と映像実演と書いてあります。これは何か? 音楽実演とも言うんですが、ミュージシャンの方、あとはボーカルも含めて、ドラムやギターを弾いたりする、実際に演奏したり演じた人に与えられる権利。次は映像実演。これは俳優さん。実演の演技をした人が所有する権利で、実はこれを、たとえば歌うことはできるけども、他人のCDをかけるといったときには、著作隣接権が発生しますので、そこで他人が弾いた曲が流れているので、著作隣接権に抵触するのでUstreamでは流せない。

三上 ふーーむ。

加藤 次に下のところ。一番下の枠なんですけども。レコード制作と書いてありまして、最初に音・映像を固定。固定というのは法律用語なんですが、簡単に言うと録音・録画した人に与えられる権利で、主にレコード会社さんや放送局。主にですよ、権利を持ってる人が分かれる場合もある。この方々にも著作隣接権が与えられてます。なので、最初に音・映像を固定した人、つまりCDを作った人にコントロール権、著作隣接権が与えられていますので、CDをかけるといったときには、もしそのCDを一番最初に固定したのがレコード会社さんだとしたら、レコード会社さんの許諾をとらないといけない。ということで、JASRACがOKと言ってるのになんでかけられないの? というのは実はここに抵触するという理由でございます。音源については分かりづらいので、のちほどご説明をさせていただきます。このページすごいわかりやすいのでまた戻ってきます。次のページに行きましょう。歌詞と曲でできること、ということで、さきほど我々が権利を許諾いただいている音楽の部分、ここでまずやれることは、作詞作曲、楽譜をもってやれること。歌をうたうこと。楽器を演奏すること。MIDI、ボーカロイドなんか最近出てきていますが、ある程度曲に合わせて自分で歌ってもらう自動演奏なので、これも実はOKという形ですね。だけどもさきほど申し上げたように、たとえばCDとか、DVDの映像を流してしまうのは著作隣接権に抵触してしまう。あとカラオケもそうですね。はじめにカラオケの曲を作った人、その人の許諾を得ない限り、カラオケをBGMに歌を歌うことはできない、という形ですね。

三上 うーん。

加藤 このへんがちょっとわかりづらいので…。

三上 ここのところは重要なのであとで質問繰り返してみたいと思います。カラオケ、CDをかけるところ、著作隣接権、いわゆる原盤権のほうで、その包括にはいたってない、ということですね?

加藤 そうですね。実はその著作隣接権を包括的に、特にインターネット関連に限って包括的に管理をしている団体さんがいない。いまですと、多分この音源はレコード会社さんが持ってるんじゃないの? レコード会社さんをとんとんとノックして「これ使っていいですか?」というのを一件一件確認していく、というのがなかなか事業上の権利処理のコストがかかってしまうので、現在ではいたっていない。という状況ですね。放送ですと、包括的に権利許諾をしているレコード協会さんというところがやっているんですが、インターネットは範囲外という形になりますので、ここが隣接権どうなるのと、ちょっと詳しい方はおっしゃってる。

三上 たくさんいただいております。なるべくメモってあとから質問にお答えしたいと思います。パワーポイントについてはここまでですよね?

加藤 次もいかせてください。原盤権とは。よく音源とか原盤とか言いますが。

三上 著作隣接権、原盤権って、そのへんがよくわからないんですよね。

加藤 そうですよね。一般に音楽を録音・編集して完成した音源に対して発生する権利のことを言ってまして、つまり先ほど言ったように著作隣接権の登場人物は、たとえばCDでいうと、音を固定した人、レコード会社さんがいて、演奏した人、歌を歌った人、実演者さんがいて、それぞれが著作隣接権を持っているんですけども、これを一括してまるっとまとめてるんですね。たぶん契約で。そのへん詳しくないんですけども。たとえばレコード会社さんが全部レコードに対して消耗諸費?を払うし、ディストリビューションもやるから、まるっと原盤権という形で著作隣接権部分を包括的にまとめる。そうしないといろんな人に毎回聞かなければいけなくなるので、著作権をひとつパッケージにまとめるということを、いわゆる原盤権と言っています。音源のソースによって著作隣接権が変わりますので、先ほど申し上げたように最初に音を固定した人に著作隣接権が与えられるので、音源A以外に、同じ作詞と作曲を使っていても、カバー曲とかリミックス曲、これは別です。

三上 別なんですね。

加藤 タイムラインに若干流れてますけど、カラオケもMIDIの打ち込み的なヤツから始まってますので、それも実は全然別で、「カラオケを使いたいんですけど」とレコード会社さんに行ったら「それはうちじゃないから。カラオケ配信事業者さんだから」というのもありますし、最近は着うたなんかはほぼCDと同じ音を使っている場合もあるんですが、着メロだと全然違うんで、それぞれに音源が発生している。

三上 それぞれに原盤権ある。

加藤 それぞれに原盤権が発生している。

三上 原盤権ということは、Ustreamでは3社との包括にはなってないので、もし使いたければ、カラオケ屋さんであったり、レコード会社だったり、着メロ作ってる会社に、使わせてくださいと言いにいかないといけない、ということですね?

加藤 そうです。

三上 はー。

加藤 次のページに進んでいただきたいんですが、一部、原盤を使える許諾をいただいております。ジャパン・ライツ・クリアランスさんからはですね、一部の音源の許諾をいただいていまして、これはUstreamでDJプレイをしたいよとか、バックグラウンドミュージック(BGM)として使いたいよとか、というご要望に応じて、もともとJRCさんのほうでも、そういうことも進めていきたいという強い意志もございまして、そこに我々もおんぶにだっこで、じゃあぜひやらせてください、という形でやっているんですけれども。主なアーティストですと、スピッツ、ホフディラン、最近Sweet Vacationさんは「USTバケイション」という番組を持ってくださったりしてるんですけども、こう言った方の全部じゃないけど一部の音源に関しては、どうぞ自由にUstreamで使ってください、となってますので、めちゃめちゃ見にくいかもしれませんがURLがあります。

http://www.copynavi.com/ust/terms.html

三上 いまツイートしてきました。

加藤 はい。JRCさんのホームページの中にある、Ustreamの利用可能音源データベースというのがありまして、ここに書いてあるヤツはUstreamで使えますのでぜひ使っていただきたい。

三上 わかりました。それじゃあちょっとツイートいたしますので、少々お待ち下さい。ここはじゃあスピッツの特別な曲については音楽CDをかけてもいいわけですよね?

加藤 OKです。

三上 その場合、報告はいるんですか?

加藤 はい。これも当たり前のように、基本的に使ったものは各権利者に分配するために、我々がみなさんからご報告をいただいて、我々が取りまとめて各権利事業者、今回の場合はJRCさんにお送りして、JRCさんから分配していただく、という流れになります。ですので必ず報告が必要です。また音源は別途購入してください。ということで、こういう形で一部音源も使っていいよ、著作隣接権も自由にUstreamでやっていいよ、そのかわりに買ってね、という形で権利者さんのビジネスになっていく新しいスキーム。

三上 音楽CDはそれぞれ別個に許可をとらなきゃいけなくて大変。JASRACの包括にも入ってませんが、JRCさんの場合は一部の曲はそのまま音楽CDをかけられますよ、ということで、今URLをつぶやかせていただきました。で、この場合は勝手にかけていいというわけじゃなくて、かけたあとにやはり報告が必要ですよ。という話をいま加藤さんにまとめていただきました。

加藤 はい。次のスライドを見てください。じゃあどうやって報告するの? これも我々も手探りの状態でございまして、たぶんちょっとUst上だと小さすぎて見れないんですけども、今Excelの「楽曲利用報告書」というものを用意してまして、これを我々の窓口に送付していただく。楽曲利用報告書の中には、実際にどの曲を使ったのか、音源の使用の有無のチェックボックスがあったり、いつ使ったのか、何回使ったか。というものを全部ご報告いただいて、四半期に一回、各権利事業者に「Ustreamのこの3か月分のご報告です」というのを皆さんのをまとめてご報告させていただいております。実際に手続きとしては、今後我々のホームページ上でダウンロードできるようにしようと思っていますが、いまは手運用に近い形で、この copyright_jp@ustream.tv に問い合せていただくと、個別にファイルを送付させていただいて、それに必要事項を記入いただいて返送いただく。こういう流れでやりとりをさせていただいております。

三上 このExcelはどこかでダウンロードできるんですか?

加藤 喫緊にダウンロードできるようにしたいなと思ってますが。

三上 今はどっかでダウンロードできないんですか? 前なんかでダウンロードできましたよね?

加藤 いや。

三上 違うんですか? まだできない。

加藤 はい。

三上 まず我々のほうから、copyright_jp@ustream.tv ここにまずメールして、楽曲利用報告書をください! と言わなきゃいけないんですね?

加藤 そうです。ちょっと手間をかけていてすみません。

三上 ごめんなさい、つぶやきをお願いしていいですか? 大変すみません。準備が悪くてごめんなさいでした。まずメールを送って、所定の楽曲利用報告書をもらわなくちゃいけない。

加藤 そうですね。今後は番組設定のページに使った曲をウェブ上で打ち込んでいただいて、そのまま送信、という形にしたいなと思っていますが、たぶんそれが利用なさっているみなさんに一番手間がかからずにいいかなと思ってますが、現状のウェブではまだちょっと。放送局さんだとCシート??と呼んでるんですが、まさに使ったものだけを紙で報告してもらうというのを、我々も踏襲させていただいているという状況です。

三上 この楽曲利用のExcel、ちょっと小さくて見にくいですが、何を書けばいいんですか?

加藤 ここに書く項目は、配信URL、番組名、配信日、配信時間。あと録画の有無ですね、アーカイブ配信しているのかしてないのか。配信管理事業者名、3社ありますのでプルダウン方式でJASRACさんなのか、JRCさんイーライセンスさんなのかというのを、まずは使ったものを覚えていただいて、ご自身で調べて著作権コード、作品コードと呼んでますが、これを打ち込んでいただく。

三上 ふーーむ。

加藤 どうしてもわからないよ、というときは、わからないと書いて、アーティスト名と曲名を書いてお送りください。そうすると我々が人力で探します。きっちりと報告して権利者のみなさんに分配したいと思ってますので、今は作品コードをいただいていない場合は人力で探しますが、かなりコストがかかってますので、配信した方が使った曲をご理解いただいていると思いますので、なるべくご自身で検索をしていただいて、IDを入れて我々に送ってください。というのを平にお願いをいたします。

三上 いま、@sakura238さんというアカウントから「早く言うとアカンこと、大丈夫なことの白黒をハッキリしてただきたい」このあとにまとめて一個ずつ、これダメ! これOK! というのを聞きますので、もうちょっとお待ちください。
??で今タイムライン上でご指摘があるのですが、「なんでそう原始的なの?」「報告フォームを1個つくってデータベース化すりゃいいじゃん」ということをタイムラインでたくさんいただいていますが。できないんですか?

加藤 これはですね。Ustream Asiaが7月に事業会社として出発してまして、アメリカで立ち上がったサービスなんですけれども、順次ローカライズやってまして、日本にあわせた運用であったり、日本にあわせたシステムを順次やってまして、それがなかなか人手がかかって大変だということで、ちょっと時間をいただいている。とはいいながら47月からサービスをしている以上、我々としてはきちっとご報告していきたいのもあるので、ここはちょっとご理解をいただいて、順次アップデートしていきますので、それまでの間はよろしくお願いします。

三上 なるほど。スティッカムもWeb申請になってるから、早くUstreamも。

加藤 ありがとうございます。がんばります。

三上 もうちょっと伺いたいのが、ちょっと話がずれるんですが、放送局の音楽の使用報告については全曲報告になる。そしてシステムをJASRACさんのほうで作ってらっしゃる? 今後作っていくことになると思うんですけど、Ustreamでも何かそれに連動したシステムで簡単にお互いにシステム上のやりとりで報告が楽になる、ということはないんですか?

加藤 ちょっと放送局さんが全曲報告システムがどうかわからないんですけども、各テレビ局さんは1チャンネルしかもってないんですね。1チャンネルしか持っていないので、音楽データをサンプリングしてこれは何の曲だというのがわかる。Ustreamは、実際には日本でも何百チャンネルから何千チャンネル、常時流れてまして、これを全部撮って判別するというのは非常に大変で、そこが放送局さんとUstreamの大きな違い。
けっこうやってみると大変なんだなあ、と。

三上 たくさんチャンネルが動いているわけですからねえ。わかりましたごめんなさい。後ほど質問は詳しくまとめてお聞きしますので、タイムラインに書き込んでください。メモっておりますので。では??の説明を。

加藤 あ、いいですよ。もうこれでほぼ終わりですので、質問いきましょう。

三上 はい。じゃあこれから質問をひと通りメモったものを私が読み上げてまいります。もしかしたらタイムラインから漏れるものもあると思うので、質問ひと通り終わってまだ俺の聞かれてねえ、という方はぜひタイムラインでつぶやいていただければと思います。
285ビューありがとうございます。ライブ動画の情報番組UstToday特別編として、UstreamAsia銀座本社から、実際にUstreamでどうやって音楽を使いますかというQ&Aをお届けしております。
では質問をまずいきます。いっぱいあるんですが、まず単純なところからいきましょう。
カラオケのUstreamしていいんですか?

加藤 これはまあ先ほど申し上げたように、カラオケの曲に関してはたぶん配信事業者さんがお持ちですので、その方に許諾を得ない限りは、今はできない。

三上 カラオケはNG。

加藤 はい。

三上 もしかしたらカラオケを作った会社に電話してOKをとれば?

加藤 そうですね。そういう形であれば大丈夫だと思います。

三上 自分で申請しないかぎり、カラオケはNGです。

加藤 はい。

三上 それからですね。なんで1曲鼻歌歌っただけで報告しなくちゃいけないの? 面倒くさい! なんとかならないんですか? という意見があるんですが。なんで報告しないといけないのかというところをもう一回ご説明いただきたい。

加藤 本来は著作権の趣旨から見ると、他人のものは使っちゃいけない。はじめに権利を持ってる方はコントロールする権利という形ですので、それを音楽著作権に限っていえば、JASRACさんとかイーライセンスさんとかJRCさんは、包括的に許諾をいただいている、という関係があります。彼ら自身はUstreamからあがったお金を、利用状況にあわせて、分配する義務が発生しますので、その時にUstreamはどの曲をつかったかわからない。ということで報告を求める。大事なことだと思っている。Ustreamがお金を払ってるんですが、私どもは音楽著作権に関してお客様からお金をいただくということはありませんので、自由に音楽著作権を使う代わりに、報告をしてください。その報告は巡り巡って権利者さんのところにお金が入るものになるので、それで市場なり産業が成り立ち、さらに新しい音楽を作るモチベーションが生まれるので、ぜひぜひご協力をいただきたい。

三上 アーティストさんにお金が行き渡るためにぜひ報告が必要、というわけですね。たとえばそれは、報告しようがしまいが、一定のお金がUstreamさんからJASRACさんなどの権利団体に行く、と考えていいんですね?

加藤 行きます。

三上 その一定のお金はいくらかは聞けないんですね?

加藤 実はJASRACさんってホームページ上に使用料規定というのが書いてあるので、そこを見ていただくとうちがいくら払ってるかわかる。売上の何%という感じですね。

三上 わかりました。売上の何%という割合で決まったお金がいく。そのお金はJASRACさんに行くんだけれども、JASRACさんに行ったお金をどうやって分配するかを決めるために報告が必要。

加藤 そうなんです。そうなんです。けっこうこのシンポジウムの中でもJASRACさんのことを権利だとか既得権だとか言う方が多かったんですが、それはJASRACさんがきちっと分配するための楽曲情報を我々から渡してあげないと、彼らとしてもどうやってお金を分配したらいいかわからない。アーティストの方から言われてしましますから。もっと僕は多くてもいいんじゃないか、と。その元となる情報を我々が出してなかったら払えるわけがない。そういうのを含めて、我々からきちっと使ったものをご報告したいと思ってます。

三上 はい、ありがとうございました。報告のことはこれでいいと思います。いま私がここで鼻歌を歌います。フーンフフーン♪ 鼻歌を歌ったらこれは報告がいるんですか?

加藤 作曲というのは音符というか音階から成り立つんですよね? だから、厳密に言うと必要があります。

三上 必要があります。JASRAC、イーライセンス、JRCの3社のものであれば、鼻歌を歌って、私が演奏したので、歌っていいわけですね?

加藤 自由にやってください。歌って大丈夫です。

三上 でも歌ったあと放送が終わったら、報告しないといけない?

加藤 そうですね。

三上 作品コードを調べて。これも先ほど申し上げたように、やんなきゃいけない、というよりも、やってあげることによって、そのメロディを作った著作権者にお金が行き渡るというお話ですね。

加藤 そうです。

三上 鼻歌はOKですが、あとで報告が必要ですよ、という話。次。お店のBGM、たとえば喫茶店とか必ず有線放送でBGMが流れています。当然お店は有線の業者さんと契約してその音楽を流している。そこでUstreamをやりました。メロディがわかる程度に載ってしまいました。これはどうなんですか?

加藤 はい。これはNGです。

三上 NGですか。

加藤 NGです。有線放送で流している権利というのは、あくまで有線放送で流すための権利を、たとえばUSENさんみたいな会社がJASRACさんや音源の権利者となんらかの契約して、JASRACさんや音源の権利者から音源はいいよ、音源部分に関して、そこはインターネット配信は別の権利だからね、という形になりますので、厳密に言うとアウトです。

三上 なるほどー。

加藤 特にさっき伺った喫茶店の中とかだと、たぶんアウトですね。ただまあこのへんはすごいグレーなんですけど、商店街をねり歩いていて、パチンコ屋のドアがあいたら音が漏れてきたとかどうなの? というご質問がたぶんあるんじゃないかなと思うんですが。

三上 モバイルでUstして街中の曲が入った場合、何dB以下ならOKとかあるんですか?

加藤 厳密に言えば、ないですね。我々からすると、原理原則しか申し上げられないので、それはNGです。ただ、権利者の方も自分の経済的利得とか、馬鹿にされるようなそんな使い方をされない限り、あまりそこまで言わないんじゃないかという気はするんですが、そこは親告罪と言って、侵害された人が訴えない限りは、罪に問われない。配信者さんにとってオウンリスクでそれは大丈夫だろうというものであればやっていただいてもいいじゃないかなと思いますが、我々プラットフォーム事業者からすると、原理原則論はNGです。

三上 海外の曲は包括に入ってるんですか?

加藤 一部ですね、外国楽曲に関してJASRACさんのほうで海外の権利事業者さんと連携しておりましていただいております。詳しくはJASRACさんのDBを叩いて見ていただきたいと思います。多分アメリカとかイギリスとか、WIPO(ワイポ、著作権に関する世界知的所有権機関条約)っていうんですけど、条約の加盟国のところであれば、全部かどうかは把握してないんですけど、いわゆる先進国のところであれば多分大丈夫かなと思います。これも個別にこれどうなの、あれどうなの? というのはJASRACさんのデータベースを叩いていただいて、ご確認いただければと思います。

三上 有名な海外アーティストの曲ってダメだったりOKだったり、ほとんどならOKとか、判断材料ってあるんですか?

加藤 個々に調べてください。

三上 ビートルズのこの曲は、とかになってくるんですかね?

加藤 そうですね、はい。

三上 イーグルスだったらOKというわけでもなくて?

加藤 アーティスト名で。

三上 アーティスト名で検索できる。なるほど。それは海外ならOKと一般論では言えなくて、アーティストごとに決まってくると。

加藤 そうですね。いきなりエジプトの、とか、スーダンのとか言われてしまうと、その国はいいのか悪いのかって言われると全然我々もわからないところがあって、我々が許諾をいただいているのは各管理事業者さんなんで、特に外国楽曲はJASRACさんが取りまとめられておられるので、JASRACさんのDBを叩いていただくのが一番かなと。

三上 なるほど。いまここに、先ほど出ていたあやのがいるんですが、あやのが鼻笛をやりました。鼻笛でJASRACの曲を。(あやのさん鼻笛を吹く)これだったら何の曲かわかんない。全然わかんない。何秒ならOKとかあるんですか?

加藤 特に鼻笛で何秒だったらOKとかない。

三上 童謡とかはどうなんでしょうか?

加藤 童謡ですか。童謡は登録されてるものと、もう死後すごい民謡みたいになってて著作権が消滅してるものとあるんですが、それはもう好きにやっていただいていい。

三上 何秒ということではなく、メロディがわかって、著作物だというのがはっきりするもの

加藤 最終的にそれはおいらのものやん、ということになったらアウトですね。

三上 なるほど。「お祭り・ダンス・演劇のときの楽曲を把握してなくて、流れた場合は?」 これはどうしますか?

加藤 これもできれば情報をたくさんください。わかる範囲でください。

三上 自分で調べてみて分かる範囲で情報を、ということですね。それからですね、自分で調べてみて3社(JASRAC、イーライセンス、JRC)にない。これはどうするんですか?

加藤 これは我々のいただいている許諾の範囲外なので、たとえば僕が??に作詞を書いたりとか、楽曲の楽譜を書いたりして、友達に自分でテープを作って渡した。これを使いたいと言われて僕の許諾が必要になりますので、同じように、3団体以外の楽曲に関しては個別に交渉していただいて許諾を得ていただくしかない。

三上 なるほど。それから演奏って部門なんですけど、アマチュアバンドが有名な曲をカバーして弾いた。カバーして演奏する、これはOKですか?

加藤 それはOK。はい。

三上 もちろん報告は必要だけども、OKですね。

加藤 はい。

三上 さきほどとダブりになってしまいますが、ボーカロイドでその曲を作ってUstreamで流しました。これはOKですか?

加藤 これもOK。

三上 ごめんなさい、この場合ちょっと個別の話になっちゃうんですけど、ボーカロイドのソフトを作ってる方の権利はこちらで確認しなくちゃいけないんですか?

加藤 たぶんクリプトンさんは自分のソフトを使ってインターネット配信するのは容認されてませんでしたっけ? たしか大丈夫だったと思いますが。

三上 そうですね。ニコニコ動画さんといっしょに。

加藤 あれだけやられてるわけですから。自分のデスクトップで遊ぶためだけに限定しますとはたしか説明書には書いてなかったと思います。

三上 ボーカロイドでもいいのかなと。
オーケストラや吹奏楽で、譜面を演奏するコンサートをUstするのは報告すればOKですか? 演奏ですから大丈夫ですね?

加藤 これ演奏は大丈夫なんですけど、主催者がちゃんとやる分には大丈夫なんですけど、実演をそのまま映すとなると、ようするにコンサートに行ってiPhoneでこうやって(腕を前につきだす)映すときには、隣接権を確認しなければいけないので、自分で演奏する以外の方を演奏させて撮るのであれば、それは許諾をとってください。

三上 なるほど、はい。オルゴールの音はどうなんでしょう?

加藤 オルゴールは作曲がクラシックのもう著作権が切れてるものは大丈夫で何もしなくてもいい。管理楽曲の範囲内のものであれば報告が必要。

三上 はい。iTunesでダウンロードした曲。これはいかがでしょうか?

加藤 これはアウトですね。音源ってものにあたりますので、著作隣接権をクリアしていただいて配信いただくと。

三上 映像について。YouTubeで実際に流れているもの、YouTubeの画面をUstreamでそのまま流すことは可能でしょうか?

加藤 これはアウトですね。

三上 アウト。

加藤 これは音楽だけでなくて映像を固定した人ということで、YouTubeさんにも権利がある可能性がありますので。音楽だけでいうとアウト。音源が出てます。ま、YouTubeの映像の中を見てみないと、実は1個1個、作詞家誰だっけとか、実演家誰だとか、確認しなければならない。基本的にはアウトと思ってください。

三上 YouTubeのものを流すのはアウト。

加藤 はい。ただ、中には好きに使ってくださいという宣言をされている方もいて、音楽アーティストの七尾旅人さんという方は、新しい楽曲を出すときに、Ustreamで音源使ってくださいとブログで宣言されていて。YouTubeだからどうだとか、アレだからどうだじゃなくて、最終的には個別個別の判断になる。

三上 アカペラ、口ずさみはUstで報告が必要。

加藤 はい。

三上 故意ではなくて、音が漏れてしまったらどうなるんですか?

加藤 これも結局のところは著作権のコントロール権だと冒頭で申し上げましたけども、それはもう権利者さんが訴えるか訴えないか、という賭けになってしまう。

三上 うーん、なるほど。故意かどうか、という問題ではないんですね?

加藤 たぶんそうですね。だから原理原則を言ってしまうと、それはNGです、と我々も回答しなければなりませんし、よくJASRACさんが「そんなこともダメなの!?」ってネットでなってるんですけども、彼らとしては原理原則論で対応するとそうなる。だからそういう意味では「グレーすぎてわかんない」と言われる方も多いんですが、グレー領域を残しておいたほうが、みなさんがどっちなのという前に、そのまんま権利者も問題にしない、不問にする、という形でうまく流れていくこともありますから、一概にグレーだときちっと線を引いてしまうと、大変だとか、それはおかしい、ということではないかと思います。

三上 線を引けてないからいろんなことが考えられて、著作権についてもうちょっと深く、もうちょっとできるのかもしれませんね。

加藤 商店街で音が勝手に漏れてきたとか、車に乗ってて街頭のものが入ってきたとか、我々は原理原則NGですと言わないといけないですけど。

三上 たぶん原理原則NGとして言わなくちゃいけないんですけども、よく考えてみたら曲を流している人は、宣伝してほしいかもしれない。本当は著作権者と我々放送する側は1対1で向きあって「OKなの? 使っていいの?」「どうぞやってくださいよ」と。ところが我々これから18時から「yukkiyのモダチャン」という番組をやりますけども、彼女は許諾をいただければよろこんで流してくださいと。

加藤 そういった方も大分増えてきていますね。基本的には著作権というよりかは、今まではCDというものがあって、これを販売してビジネスモデルが成り立っていて、みなさんが潤って創作がつながっていくモデルができてきてるんですね。これをやっぱりもう一回再構築しないまんま、最近ネットでいろいろダウンロードしちゃってるところから始まっちゃうと、不便だとネットの人たちが言う、不幸なことなんですね。

三上 はい。

加藤 もう一度権利者の方と使いたい方に、我々プラットフォームが間にはいって、3者できっちり仕組みを作るということができたらいいのかな。

三上 他人のUstreamの録画、アーカイブを自分のUstream配信で放送する。

加藤 これもアウトですね。たぶんその方がいいよと言ったら別ですが、たぶんNGですね。

三上 ということは、他人のUstreamを自分で流すときは、元のUstreamを作った方に許諾を取りましょう、という話ですね?

加藤 そうですね。

三上 許諾をとればOKなわけで、勝手に使うのは原則NGですよというお話。もう一つ。JASRACなど各社さんへの報告が必要。その報告の回数って? たとえば10回、20回。それはたとえば1ヶ月で我々の番組で同じ曲を10回使った。10回使ったら10回分の報告が必要なんでしょうか?

加藤 そうです。番組ごとに1レコードとして計算していただきたい。結局Ustreamには何百チャンネルもみなさんに使っていただいているんですが、1万人に見られるものと、500人の方が見るもの。さらに1万人の番組の中で10回この曲使いました。500人の番組の中で2回使いました。実際に音楽が流れた回数がかわってきますので、それもきっちり回数を報告して、一番使われた方にお金を多く分配しようという計算が根拠になります。

三上 なるほど。それからアーカイブなり放送なりが見られた回数、たとえば今291人見ている人がいますけど、この見ている回数、見ている人の数によって変わってくる?

加藤 はい。我々が報告する見られましたよという回数が変わってきますので、その回数に応じて権利者の方に分配金が行く。この回数がすごい大事ですし、やっぱり番組によって大きい・小さいありますので、たくさん使われた回数ですね、楽曲が何回・何人の方に見られたのか、この掛け算でどれだけ楽曲が使われたのという計算方法になります。

三上 もう一つ、ちょっと辛辣な、直接的な質問をいただいています。「グレーな部分を残して「不問で済んだ」ってただのやった者勝ちじゃないですか。ある日膨大な請求が来るリスクを背負えと言うんでしょうか?」

加藤 そうですね。そういう意味ではリスクということであればやっていただかないほうがいいですね。
我々はここまでできますよと言い切れない部分があって、我々ができる範囲というのは、許諾をいただいた管理事業者さんからいただいた部分の範囲内でできますよと。なるべくこの範囲を、いま隣接権のJRCさんの原盤のこの部分を使ってもいいですよ、というのを少しずつ増やしていってますので、それ以外の分野に関しては配信者さんにやっていただきたいですし、特に我々がやってくださいと聞かれたものに関してサポートのほうによく聞きますけど、原理原則NGですと返しております。

三上 グレーの部分を残して不問で済んだ、じゃなくて、グレーの部分はUstream側ではやめてくださいと言うしかない。ただそれは著作権者と配信する側の関係であって、その中にJASRACとUstreamさんを挟んでいるというだけの話です。なので本当を言えば1対1で向きあえば、そんなに難しい話、グレーな部分は出てこないはずなんですが、途中の手続きが入ってしまうので、どうしてもグレーな部分、もしくは原則NGですとしか立場上答えられないことがでてくる。

加藤 はい。

三上 むずかしいところですね。報告が必要で報告してもらわないとわからない、ということは、違反者がいても気づかないということなんですか?

加藤 現状は正直気付けない。Ustream上でライブをずっとやっていて、何百チャンネルもあって、アーカイブも残さずぷちっと切ってしまった場合には、正直わからない。本当みなさんの善意に委ねられている形になってます。

三上 たとえば音楽CDをばんばんかけてる。もしくは無許可なUstをやっている場合、それを見つけました。Ustream側ではこれをBANするなり止めるなり作業をやってらっしゃるんですか?

加藤 現状はあきらかにこれって映画をまるまるコピって配信してますね
、とか、たとえば右上に放送局のロゴがあったりするものはBANしてます。ただしそれ以外のものに関しては分かり得ないので、そこの部分に関しては慎重に見ている。ただし権利者の方から「これ、うちのアーティストの曲ばんばんかかってるんだけど」音楽CDかかってるんだけどという、そちらの権利とってないんですか? と聞いて「全然ないです」と言われたら一個一個BANしてます。

三上 なるほど。Ustream側から見てその配信が許可とってるものかどうかはわからない。あきらかに無許可とわかるものについてはNGをかける。

加藤 基本的には無許可のものは配信しないでください、というのが当社のスタンスです。

三上 外国での、海外でのUstream配信の著作権についてはどうなっているんでしょうか。外国の配信者さんはどこかに報告されているんですか? たとえばアメリカとか、基本的には海外の法律に従うことになるんですか?

加藤 そうですね、基本的には海外の法律にしたがって、海外の運用もまたばらばらになりますので、全部は実は僕も把握していません。ただしUstreamは始まったばかりなので、これからアメリカならアメリカとか、そういうところの管理団体があるのかどうかもアレですが、そういうところと協調していく。

三上 JASRACなどに自分が申請するとお金がかかる。代理申請してもらうだけでありがたい。代理申請というかUstreamからお金がいってるんで、その中でどれを使いましたという報告が必要という話ですよね。Ustのビジネスモデルは、ごめんなさい今日はビジネスモデルの話じゃなくて音楽を実際に使おうという話でした。

加藤 頑張ります、まだ儲かってません。

三上 まだ儲かってません!? この話ききたくなかったなあ。せっかく300ビューだったのに。ありがとうございます。
放送局にはJASRAC側との取り決めで45秒までならOKというルールがある、とタイムラインでご指摘をいただきまして、そういうことをUstream側で契約とか交渉するとかいうお気持ちはありませんか。

加藤 たぶんJASRACではなくて、音源なので、JASRACさんだけじゃないと思うんですけど、業界慣習でそういうのはあるかもしれませんし、そういう契約をされてるのかもしれません。たとえばiTunesも曲のはじめが聞けますよね。あれどういうふうにやってるのかなあ、というのもありますので、聞いて調べてできればやりたいなと思います。ちょっとすみません、正直そこまで情報持ち得ていないので、確認してみたいなと思います。

三上 悪意のあるユーザーがいたら困るねって質問で、配信をしていない曲の申請を大量にして不当に利益を得る、Ustream側の申告の邪魔をするみたいなことができたら困るね。

加藤 そうですね。これは想像もしてませんでした。一応配信しているかしてないかの有無はこちらではわかります。たしかにそういう問題はあるかもしれません。

三上 これさっき答えたかな? もう一回やっときます。オーケストラや吹奏楽で譜面を演奏するコンサートをUstする場合、報告すればOKですか?

加藤 はい。主催者であればOKです。主催者というか、各演奏家の方の許諾を得る。主催者であれば得ているはずですしね。

三上 ほとんどひと通り今までのタイムラインを追ってきた範囲内では質問に答えたつもりでおりますが、「俺は捉えられてない??」という方はお願いします。全部絶対に聞くとは答えられないのでごめんなさい。
報告後にもアーカイブの再生回数はかわると思います。

加藤 はい。アーカイブは実は全部毎月毎月チェックしてます。1回報告いただいたら録画の有無のところの有りに関しては毎月毎月全部チェックしてます。

三上 うわっ! UstTodayの中で1曲報告をあげたら、そのアーカイブの回数を。

加藤 そうですよ。

三上 事後も。うわー。大変なんですね。

加藤 そうですね。実はVOD(ビデオ・オン・デマンド)型の他のサービスですと、もう音声指紋というシステムが取れてるんですが、いかんせん我々はライブのサービスなので、すごい原始的なんですね。インターネットって昔は複製できるとかデジタルな利点、いつでも見れる。
Ustreamはライブだけに特化しているので、ちょっと原始的すぎるところがあって、面白いようななにやら、若干いま運用していて思ってます。

三上 ごめんなさい忘れてました。ゲームの質問。ゲームを流している人がたくさんいるんですが、あれはいいんですか?

加藤 原理原則は多分ダメなんじゃないかなと思ってるんですけど、ゲーム会社さんにはたぶん黙認している会社が多い、と聞いています。

三上 ゲームについては個別のゲーム会社の対応になるわけですね?

加藤 はい。ゲームの中でもですね、ゲームの音楽にも2つあって、先に音を固定した人を著作隣接権として与える、というのがさきほどご説明したように。そのときに、今まではゲーム会社がピコピコと音を作ってたんですが、最近オープニングでプロのミュージシャンとタイアップして音楽を作る場合があって、これはレコード会社さんがCD販売しているんで、オープニングはダメだけど、他のゲーム中の音楽はいいよ。本当にこれはケースバイケースで、黙認的なことを申し上げましたけど、正直我々は原則としてNGなんですけど、多くの方がやられていて、ゲーム会社の方も気になるところ以外は黙認されてるんじゃないかな。

三上 なるほど。ちょっとそこは難しいですね。ゲーム1つ1つゲーム会社の対応を調べていただかないとわからない。それから。自主的に許諾を取ったよ、原盤権を持ってらっしゃるレコード会社に直接問い合せてやりました。CDを流すと。その場合にこれは許諾を得ましたと表示する方法ってあるんですか?

加藤 今はUstreamの配信システムをご覧いただくとわかると思いますが、そんなものはないですね。ツイートで他の方からツッコミがあった場合は、許諾を取れてるとちゃんと表示して配信されたほうがいいと思います。

三上 自分でUstreamなりタイムラインのどこかに、ちゃんと許諾を取ってますよとやったほうがいいと。

加藤 実はUstreamって一般の方とプロの方が同じIDでフラットな世界でやっていますので、誰が本当の権限を持っているかもわからないというのがありますので、もし本当にそういうことができたら明示してやっていただいたほうがいいと思います。

三上 加藤さんすみません、こんなに長い時間。お水を飲みながら、あとちょっとあります。「あるソフトの使い方とかをUSTで解説するのもゲームとかと同じ様な扱いでしょうか?」 たとえばパワーポイントの作り方講座というのでパワーポイントを。

加藤 どうなんですかねえ?

三上 Photoshopでこういう加工するための講座というUstreamをやりました。Photoshopの許可はいるんですかね?

加藤 多分説明書には書いてないですけども、うーん。

三上 これはいらないような気がしますね。ごめんなさい明言できませんので調べておきます。そんなものでいいですね。できれば簡単に所属を明記できるソフトを作ってください。システムの話を繰り返しみなさんにいただいています。
Ustreamの配信、プロデューサーから直接音楽許諾、これを使いましたという報告ができるシステムは作れないんですか?

加藤 いま検証しています。プロデューサーでやれるかはちょっと置いといて、ようするに生なので、番組を作る前にこの楽曲を使うって表示しておいて、こういう感じで延長した場合もっと使いたい、番組が始まる前に何を使うか考えておいてもできない場合があって、であれば使ったあとの統計ページなりに記入したほうがいいんじゃないか。と考えてまして、そういうところにウェブ上でポチポチポチと打ち込めるような仕組みを考えています。他社が出来てることなんで早急にやりたいなと。しばらくお待ちいただければと思います。

三上 時間が押してまいりましたので18時20分でしめたいと思います。なかなか難しい質問があります。「アーティスト本人からCDをもらい、流していいよって許可をもらいました。それでもCDは流しちゃいけないんでしょうか?」 ダメなんですか? ちょっと微妙な質問です。

加藤 そのアーティストが著作隣接権を全部まるっとまるめて原盤権と申し上げましたけども、それを自分で全部持っていれば大丈夫です。だけど、そのアーティストの方がよく知らなくて、いいよって言った場合はアウトですね。

三上 実はレコード会社側に原盤権があるのに、アーティストが自分がやっていいと思ってる場合。

加藤 たまにありますね。

三上 俺が作ったんだから俺の曲流していいよ、って言ったけど、実は原盤権はレコード会社にある。

加藤 そうなんです。事務所がもってたり。

三上 場合によってはアーティスト自らが自分の曲をかけられないという事態が発生するわけですね。

加藤 その可能性はあります。

三上 そういうことで、一生懸命頑張って質問を拾ったつもりでおりますが、いかがでございましょうか。今回は特別編につきテキストに起こす予定はございません。もしよろしければ我々もツイッターございますのでテキスト化のご協力をいただければ、とてもうれしいな! と思います。
ごめんなさい、あと2つで最後にしたいと思います。居酒屋でUstしました。BGMが流れました。どうなるんでしょうか。

加藤 これも同様に著作隣接権の原盤権、音楽が流れていた場合はNGです。

三上 NGです。USENさんはお店の中で流すためだけの契約としてお店に出している。それをUstreamだけに限らず他の手段で流すことは問題が発生するのでNG。

加藤 Ustreamだけじゃなく、いわゆるネット配信というものに関しては全部同じ。

三上 というところでございます。大変長い時間、本当は30分の予定が1時間20分になっちゃいました。ごめんなさい。Ustream Asia Weekly Channelとかやってほしいな。

加藤 そうですね、今回報告しなきゃいけなかったこととか多くて、こういうのは続けてしたい。実は前回7月ぐらいに津田さんとか来ていただいて、討論会みたいなものをやったんですが、定期的にやっていきたいですし、なによりホームページ上でなかなかまだ日本語化しましたというところが多くて、日本語的な日本国内で遅れている著作権をうまくご案内して、できてないということは理解してますので、そこもなるべく充実させていきたいなと思っています。

三上 はい。ということで長い時間ありがとうございました。今日、UstToday特別編として、前半はJASRACさんのシンポジウム、日本の著作権、特に電子書籍についてのシンポジウムを中継しました。後半は今こちらUstream Asiaさん、銀座にある本社の1階の会議室をお借りして、Ustream Asiaサービス企画部の加藤幹也さんに著作権の詳しい話を伺いました。息あがってませんか?

加藤 いやー、緊張しますね。

三上 長い質問ばかりで大変ご迷惑をおかけしました。「加藤さん、少し太ったような気が・・」

加藤 あー、@magaruusagiさんご無沙汰してます。

三上 まだまだ問題あるとは思いますが、ありがとうございました。もっとやりましょう。本当ありがとうございました。

加藤 ありがとうございました。

三上 一つ一つの事例をそれぞれパターンが違ってくるので、本当にはっきりこうだというのが難しいところがあります。今回の情報をなんらかの形でまとめていただければと思います。「規約は詳細に書いてほしいです」というご指摘をいただいております。

加藤 はい。

三上 それではUstToday特別編、今日はUstream音楽使用Q&Aをお届けしました。加藤さんどうもありがとうございました。

加藤 ありがとうございました。



【テキスト終了】


★書き起こしなう★

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 製作    株式会社なう(@saisiki)
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[ポロス] 2004年3月14日 サンルート札幌を引き継ぐ際、社員に回覧した設立趣意書

メモ:2004年3月14日 サンルート札幌を引き継ぐ際、社員に回覧した設立趣意書

◆ 株式会社ポロス 設立趣意・設立経緯について ◆

この度、私こと才式 祐久(サイシキ サチヒサ)が、株式会社ポロスを設立し、ホテルサンルート札幌の経営を預かることになりました。
ついては、株式会社ポロスの設立経緯や趣旨を書き留め、お取引様各位、従業員・スタッフの皆様、また従業員のご家族の方々にも、ご一読いただくために作成いたしました。
ご高覧賜れば幸いに存じます。


[私と札幌、私とサンルート]

 私と札幌の縁は、約10年前にさかのぼります。
当時、銀行や信用金庫の取引先顧客に、中小企業コンサルティングを行うベンチャーリンクという会社に在籍していた私は、北海道の地銀や信用金庫などを担当し、札幌はもとより、小樽・函館・苫小牧・室蘭・帯広・旭川などを営業訪問しておりました。
半年ほどホテル暮らしをしておりましたが、食べ物がとても美味しく、また冬場はスキー、人もとても暖かい人たちばかりということもあり、すっかり札幌・北海道が気に入り、将来の生活拠点としてとても良いなと考えていました。
そんな中で滞在したホテルは、サンルート・ワシントン・アイスバーグの3つでした。
当時の札幌営業所が南2西2にあり、サンルートにも良く泊まっていたいうことから、今回のお話をいただいた折にも、私が経営を引き継ぐイメージが具体的に想像できたのです。


[私のビジネスマンとしての生い立ち]

 私は、学習院大学理学部化学科を卒業し、当時同級生がいわゆる化成メーカーや製薬会社、化学商社等に就職していくなか、当時は全く無名の「ベンチャー・リンク」という今は東証1部に上場している経営コンサルティング会社に就職しました。

 このVLという会社は経営理念が2つあり

 1.日本の大半の会社は中小企業である。それゆえ中小企業の活性化こそ日本の活性化につながる。その中小企業の支援を行う
 2.独立精神旺盛な人材を育成し、その人材に巣立ってもらい、人材輩出機関たる会社になる

この理念にとても感動し、小さい頃から「他の人にできない何か」になりたかった私は、自分も社会の活性化の触媒になりたい、いずれは独立して、世の中にその商品やサービスを問いたいと思い入社をしました。
独立経営者を夢見て、VL時代の3年間は本当に寝食をわすれ、仕事邁進していました。
VLには、「ライフプランニング研修」というものがあり、毎年毎年自分のライフプランを年表にしてグループ内で発表するものです。当時、同期の新卒入社組は26名おりましたが、編集希望の女性1名を除いては、ほぼ全員が「社長になる」と目標を掲げるような会社でした。入社後、皆朝から晩まで、会社にやらされるのではなく、自分の将来のために、本当に良く働いていたと思います。
 私が働いた94年から96年は本当に恵まれた年でした。95年にVLが公開することになるのですが、公開する前の年、公開した年、公開した後の年と3年間在籍したことで、株式を公開する意味、公開したときにお客様の反応、また社内の人材の意識や人材像の変化等を肌で直に感じ、私の会社に対する価値観や考え方に大きな影響を与えました。
そして96年、当初の修行と思っていた3年間が過ぎ、独立の意志を固めていくのでした。
当時、「若手ベンチャーネットワーク」という若手起業家や起業家予備軍のための勉強会を行っていた私は、FAXで1000名、電子メールで5000名の方々に情報配信をしておりました。95年・96年当時、電子メールで5000人の読者が、1個人のメールマガジンにつくというのは、とてもものすごいことでした。その電子メールの大きな可能性を感じて、電子メールの情報配信や広告などを行う「メールニュース有限会社」を97年6月に設立し、ベンチャービジネスをスタートさせたのです。
私一人でスタートしたその会社は、その後4年間で従業員60名、売り上げ14億、営業利益3000万に成長しました。
公開企業としての成長を目標としており、公開のための準備も証券会社や弁護士のチェック等すべて整えたところ、すでに上場している会社から、合併の話がもちあがり、「上場か合併か?」の2者択一を、私は電通グループの傘下に入るという決断をし、2001年7月、電通・ソフトバンクの合弁会社「サイバー・コミュニケーションズ」に株式交換で会社を買収されました。
私が、築30年のおんぼろアパート「みやぎの荘あおい室」からスタートした300万円の有限会社は、22億4000万円という価値を認められるまでになったのです。
残念ながら、合併した公開会社の株価が、その後一番低いときで10分の1になったということもあり、自分の財産としては大きく残るという形ではありませんでした。ところが当時私のような30そこそこの若造が経営する会社に、30もの投資会社が列をなして投資をさせてくださいといい、実際7社から6億円も投資を受け、他のネットバブルの会社のようにすぐに全部を使うでもなく、5億円の手持ちキャッシュを持ちながら合併をしたのです。
お金という資産はたいして残りませんでしたが、この会社の経験はいかものにも代え難い経験という財産になっております。


[私の次の仕事]

今まで私は、「法人様」に対して、サービスを提供していたというビジネス上の経験をずっとして参りました。2003年の9月に、サイバーコミュニケーションを退任し、その後考えていたのは、今度は私は、「個人」様に対するサービス業を、自分の経験として持ちたいと思ったことでした。それは私のビジネスマンとしての経験の幅を広げる意味もありました。
今回のサンルート札幌の運営引継のお話をいただいた時に
 1.私が好きな札幌という場所で仕事ができる
 2.私が次にやりたかった「個人向けサービス業」ビジネスである
 3.私が10年前に宿泊したこともあり具体的にイメージできる
 4.自分自身の信頼おける情報ルートからのお話だった
このようなことから、すぐに検討させて欲しい旨、仲介の銀行様に申し上げました。

デューデリジェンスが進む中、サンルート札幌の特徴である、札幌駅徒歩3分という好立地であることや、サンルートのブランド名、またそれに伴う稼働率の高さに、非常に驚き感動し、自分が経営を行うイメージがさらに沸いたのです。
また人の面では、総支配人役の前田氏の人柄や誠実さ、何事にも逃げることなく物事にひたむきに当たっていく姿に、私はパートナーとしての役割に大いに期待するとともに安心もいたしました。
資金調達の面も順調に進み、まさに「ヒト」「モノ」「カネ」という、企業にとって大きな3つの条件がそろい、あたかもサンルート札幌が、私のために活躍の舞台を用意してくれたような印象さえ感じたのです。

この設立趣意書をお読みいただく皆様方のお立場は様々かと存じます。
お取引企業様には、従前にもまして、なお一層のご愛顧と良い仕事をお願いしたい。
従業員・スタッフの皆様には、新生サンルート札幌を是非盛り上げていく中心人物になっていただきたい。
またそのご家族の皆様には、家庭でのコミュニケーションを通じて、スタッフの方々の仕事のやる気と鋭気を与えていただきたい。

皆様方に対してそのような勝手なお願いばかりでございますが、ご関係者皆様方の応援を持ちまして、「新生サンルート札幌」を、札幌地区の「お客様に愛されるビジネスホテル NO1」にするべく、私、そして前田、またスタッフ一同が全員力を合わせて、全社一丸となり、新しい「サンルート札幌」の幕を開きたいと存じます。

今までのご厚情に感謝するとともに、新しいサンルート札幌を、是非これからもよろしくお願い申し上げます。


2004年3月14日

株式会社ポロス 代表取締役 才式 祐久
 

 
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[私のビジネスマンとしての生い立ち]

[私のビジネスマンとしての生い立ち]

 私は、学習院大学理学部化学科を卒業し、当時同級生がいわゆる化成メーカーや製薬会社、化学商社等に就職していくなか、当時は全く無名の「ベンチャー・リンク」という今は東証1部に上場している経営コンサルティング会社に就職しました。

 このVLという会社は経営理念が2つあり

 1.日本の大半の会社は中小企業である。それゆえ中小企業の活性化こそ日本の活性化につながる。その中小企業の支援を行う

 2.独立精神旺盛な人材を育成し、その人材に巣立ってもらい、人材輩出機関たる会社になる
この理念にとても感動し、小さい頃から「他の人にできない何か」になりたかった私は、自分も社会の活性化の触媒になりたい、いずれは独立して、世の中にその商品やサービスを問いたいと思い入社をしました。

 独立経営者を夢見て、VL時代の3年間は本当に寝食をわすれ、仕事に邁進していました。

 VLには、「ライフプランニング研修」というものがあり、毎年毎年自分のライフプランを年表にしてグループ内で発表するものです。当時、同期の新卒入社組は26名おりましたが、編集希望の女性1名を除いては、ほぼ全員が「社長になる」と目標を掲げるような会社でした。入社後、皆朝から晩まで、会社にやらされるのではなく、自分の将来のために、本当に良く働いていたと思います。

 私が働いた94年から96年は本当に恵まれた年でした。95年にVLが公開することになるのですが、公開する前の年、公開した年、公開した後の年と3年間在籍したことで、株式を公開する意味、公開したときにお客様の反応、また社内の人材の意識や人材像の変化等を肌で直に感じ、私の会社に対する価値観や考え方に大きな影響を与えました。
 そして96年、当初の修行と思っていた3年間が過ぎ、独立の意志を固めていくのでした。

 当時、「若手ベンチャーネットワーク」という若手起業家や起業家予備軍のための勉強会を行っていた私は、FAXで1000名、電子メールで5000名の方々に情報配信をしておりました。95年・96年当時、電子メールで5000人の読者が、1個人のメールマガジンにつくというのは、とてもものすごいことでした。その電子メールの大きな可能性を感じて、電子メールの情報配信や広告などを行う「メールニュース有限会社」を97年6月に設立し、ベンチャービジネスをスタートさせたのです。

 私一人でスタートしたその会社は、その後4年間で従業員60名、売り上げ14億円を越えるまでに成長しました。
公開企業としての成長を目標としており、公開のための準備も証券会社や弁護士のチェック等すべて整えたところ、すでに上場している会社から、合併の話がもちあがり、「上場か合併か?」の2者択一を、私は電通グループの傘下に入るという決断をし、2001年7月、電通・ソフトバンクの合弁会社「サイバー・コミュニケーションズ」に株式交換で会社を買収されました。

 私が、築30年のおんぼろアパート「みやぎの荘あおい室」からスタートした300万円の有限会社は、22億4000万円という価値を認められるまでになったのです。

 残念ながら、合併した公開会社の株価が、その後一番低いときで20分の1になったということもあり、自分の財産としてはまったく残っておりません。
 ところが当時私のような30そこそこの若造が経営する会社に、30もの投資会社が列をなして投資をさせてくださいといい、実際7社から6億円も投資を受け、他のネットバブルの会社のようにすぐに全部を使うでもなく、5億円の手持ちキャッシュを持ちながら合併をしたのです。

 お金という資産はたいして残りませんでしたが、この会社の経験はいかものにも代え難い経験という財産になっております。